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法人成りのメリット・デメリット(前半) 2019.4.22

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個人事業を始めようとされている人や個人事業をされている人は、法人成りした方がいいのかどうかを、一度は考えられたかと思います。

そこで、法人成りすることの一般的なメリット・デメリットを簡潔に挙げますので、これを参考にどうする方が良いかを考えていただければ、幸いです。

まず、メリットを考えていくと、以下の点が挙げられます。
・所得税の節税
・相続税の節税
・消費税の節税

所得税の節税については、個人事業だと、所得が全て事業主の所得になりますが、法人成りすれば、自分のほか事業主以外の人(配偶者や子供、両親などの家族)に給与を支給することができます。
そのまま1人の所得として計上するよりも、複数人の給与として受け取ることで
①給与所得控除を受けられるので、所得金額をさらに減らすことができる
②所得を分散することで所得税率を減らすことができる
(所得税は所得が増えれば増えるほど税率が増える累進課税となっているため)
の2つの利点が生まれてきます。

なお、所得税でも専従者給与の規定により、家族が給与を受け取ることで、法人成りによる給与の受け取りと同様の効果を得られますが、専従者給与の規定を受ける条件は、法人で給与を受け取るよりも厳しいため、家族への所得の分散を考えるならば、法人成りによる給与支給の方が良いかと思われます。

また、本来事業主1人に集まる所得(預貯金)を、他の家族が給与として受け取ることで、相続財産となる預貯金を分散(減らす)ことにもなるので、相続税対策にもなります。
その他、相続税の節税として考えられることとして、
①事業主の財産を、法人成りする際に法人の財産として移し替えておくことで、個人が亡くなった時も相続税が発生しない(ただし、事業主が法人の株式を持っている場合はそうとは限らない)
②法人が事業主死亡時に支払った死亡退職金は、500万円×法定相続人の数が相続財産の非課税枠となるので、個人から現預金を相続する時も相続税が安くなるといったことがあります。

さらに、法人成りによる事業開始から原則2年間は、消費税の支払が免除になるというメリットも考えられます。
ただし、消費税の支払の免除を受けるには、資本金が1,000万円未満であるといった一定の要件を満たすことや、事業開始日から6ヶ月間の売上高と役員報酬が共に1,000万円を超える場合は、1年間しか免除が受けられないなど、法人成りをすれば必ずしも2年間消費税が免除されるわけではないので、消費税がどうなるかの判断は税理士に相談されることをお勧めします。

個人事業から法人へと形態変化することでは、他のメリットも考えられます。
まず、生命保険料に関して、個人だと生命保険料控除により最大12万円の控除しか受けることができませんが、法人だと生命保険料の全部または一部を法人の経費として計上することができます。
また、損失が発生した場合、個人では3年間しか繰り越すことができませんが、法人では最大10年間繰り越すことができます。
その他、法人成りをして事業主が社員になれば、事業主に対する退職金を費用計上することができます(個人事業だと、事業主自身に対する退職金は必要経費に算入できません)

金額以外の面で見ると
①対外的な信用力が個人の時よりも増す
②人材募集をするとき個人の時よりも応募者が増える
③金融機関からの融資が受けやすくなる
といったことが挙げられます。
①と②は、組織力として個人よりも会社の方が強いという印象を受けるため、先述の様な影響が受けられると考えられます。
③に関しては、個人よりも法人の方が、申告書に関して数々の添付書類が求められるため、金融機関からすれば、詳しい情報を得ることができ、融資に関する判断がしやすいというところがあります。

これまではいろいろとメリットを述べてきましたが、次回は法人成りに伴うデメリットを紹介しています。

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