財産を受け取っていないのに相続税がかかる? 2017.10.9
「不動産や預貯金を相続したので相続税を払って下さい」といわれると、財産を受け取ったのですから仕方がないかなと思えますが、目に見えない財産を受け取っても相続税を納めなければならないことがあります。
例えば、夫が夫婦2人分の保険料を支払い、夫の死亡保険金は妻が受取人、妻の死亡保険金は夫が受取人になっているという場合です。
先に夫が亡くなったとすると、夫にかけていた生命保険の死亡保険金は、夫が亡くなった時点で妻に支払われます。では夫が妻にかけていた死亡保険金はどうなるでしょう。妻はまだ存命なので、死亡保険金は支払われません。誰かを受取人に指定して、将来妻が亡くなった時に死亡保険金を受け取る権利を夫から引き継ぐことになります。
これが「目に見えない財産」です。相続開始の時において、まだ保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利は、財産として相続税の計算に含めます。
相続開始時点でその契約を解約した場合に支払われることとなる解約返戻金の額が評価額となります。
実際に保険金がもらえるのは妻が亡くなった時ですが、契約者であった夫が亡くなった時点で相続税が課税されるのです。
このように、相続税がかかる財産には、「権利」も含まれます。
・生命保険契約に関する権利
・定期金に関する権利
・保証期間付定期金に関する権利
・契約に基づかない定期金に関する権利
・その他の利益の享受
・信託に関する権利
相続が開始したとき、なかなか目に見えない財産には気づきづらいものです。
しかしこれらを相続税の計算に入れ忘れてしまえば、過少申告や無申告になってしまい、後から税務署に指摘され追徴されることになりかねません。
税理士が保険や家族関係について詳しく聞いたり、過去の預金通帳を見せてもらうのは、この確認のためでもあるのです。